戦場の掟 - スティーヴ・ファイナル/伏見威蕃 - 小説・無料試し読みなら、電子書籍・コミックストア ブックライブ

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イラク戦争で急成長を遂げた民間軍事(警備)会社。その一員となった人々は、現代の傭兵として、戦場で要人の警護、物資輸送の護衛などの任務に就く。正規軍の代役となる彼らの需要はきわめて多く、報酬も破格。しかし、常に死と隣り合わせで、死亡しても公式に戦死者と認められない。法律に規制されない血まみれのビジネスの驚くべき実態と、新しい形の傭兵たちの過酷な現実。ピュリッツァー賞を受賞した記者が放つ衝撃作

 世界的人気ゲームMGS4で取り上げられた民間軍事会社PMCの真実に迫った一冊。  日頃から念仏のように「戦争反対だ」「憲法九条を守れ」などと唱えてばかりの平和主義者には、頭を撃ち抜かれるほどの衝撃で目を醒まさせられる内容。  かつての軍需産業は兵器や弾薬、装備品や車輌、艦船や航空機といった、ハードウエア産業の話だと思っていたのだが、イラク戦争の前後から、傭兵や民間軍事会社等の、ソフトウエア産業へと機軸がシフトしている。ベルリンの壁崩壊や米ソ冷戦の終結以降、世界的な軍縮の流れにより、かつての社会主義国家を中心に、軍事関係の人材の流出が激しくなっており、民間軍事会社は、能力や知識を持て余した軍事関係者の格好の受け皿となっている。  「世界の警察」を自称するアメリカ軍も、殺人や戦後処理など、自らの手を汚したくない業務は全て外部に委託する。正規の軍人じゃないからジュネーブ条約や国際法等のあらゆる法律や条約にも抵触しないらしいが、同時にその恩恵や保護も受けられない。ルールなど無い。唯一あるのは「強者の掟」のみ。  受け取る給料は大半が現金払いで、正規の軍人よりはるかに高いが、死ねばただの紙屑。それでも、はるかに安上がりなのだろうからビジネスとして成立するワケだし、金を目当てにアメリカ全土や世界各国から、ピンは元軍人、キリは犯罪者、麻薬中毒、普段の日常生活に適応できず、生死のスリルを味わえる戦場にしか自らの生き甲斐や存在価値を見出せない連中が集まってくる。  PMCは「アウトソーシングの成れの果て」、はたまた「グローバル経済の終着点」の産物というべきか。いずれにしても、「右」から「左」まで必読でしょう。