勤王佐幕の血なまぐさい抗争に明け暮れる維新前夜の京洛に、その治安維持を任務として組織された新選組。騒乱の世を、それぞれの夢と野心を抱いて白刃とともに生きた男たちを鮮烈に描く。司馬文学の代表作。
司馬遼太郎さん著「新撰組血風録」 新撰組の隊士の小咄が15篇綴られた短編集。どの篇も50頁位でまとめられており非常に読みやすい。 15篇とも物語の主人公が違い、各々の隊士が見事に個性的で魅力的。幕末の大争乱の中で各々が新撰組隊士としての生き様、死に様をみせる。 沖田総司の淡く儚い恋譚や惣三郎の男色譚もあったが、それも特徴的なその時代背景の一つの色だと感じる。 この作品の全体の特徴として隊士達の日常が生身の様に描かれており、どれも到って素朴なエピソードである。 その素朴さが反って斬って斬られての新撰組の血生臭さをより引き立てている様に感じる。 なるほど、タイトルの血風録とはお見事としか言い様がない。 驚くのが著者が「燃えよ剣」と同時期にこの短編集を書き上げているということ。 「燃えよ剣」は土方歳三を主軸に描いた長編作品であり、それ以外の作者が描きたかった話はこちらの「血風録」の方に納めて発表されたのだろうか? どうであれどちらも素晴らしかったという事には変わりはない。 読後に調べていたら67年に司馬遼太郎さんと子母沢寛さんの対談の記事を見つけた。その時司馬さんが「子母沢先生の『新撰組始末記』がどうしても越えられない」と仰ったとか。 先日読み終えた浅田次郎さん「壬生義士伝」で初めて知った「子母沢寛」という人物。ますます興味を惹かれている。 新撰組系の第一人者はきっと子母沢氏なのだろうと感じざるをえない。 いつかその皆が認める「新撰組始末記」を必ず自分の眼で読んで感じてみたいという決意が芽生えている。
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