1900年に謹か数百部で刊行された『夢判断』は世紀を超えて影響を与え続けている。エディプス・コンプレックスの発見と夢の分析を通した無意識世界への探究。フロイトが開花させた精神分析は、複雑な家族構成や葛藤に彩られた彼の生涯と思索の軌跡を映しだす鏡でもある。現代に甦るフロイト像を描きだす清新な入門書。
フロイトの人生を抜きにして精神分析は語れない、という言葉どおり、フロイト入門であり、精神分析入門である。 精神分析は文脈の科学だと著者は言うが、確かにこの本は、フロイトそのひとの生い立ち、精神分析の創造過程におけるいくつかの文脈が交錯している。 それらの文脈は、父との関係、子との関係、患者との関係に整理できるが、この整理じたい、オイディプスが孕む矛盾そのものである。 精神分析はそもそも矛盾を孕むものなのだということが良く理解できる。 エビデンスベースドを重視する認知行動療法と、この文脈の科学は対照的、というか、そもそも発想がまったく違うということがよくわかる。 また、文脈の違いという点では、アドラー心理学、ユング心理学とも異なるのも納得できる。 これは、フロイト、アドラー、ユングだけに当てはまることではなく、エリスやベック、あるいはミルトン・エリクソン、ロジャーズ、さらに、河合隼雄、北山修にも当てはまることだと思う。 ついでにこの本にある、アドラーとフロイトとの対照表は、非常に思想の違いが明快。 ただ、おしゃべり療法としての精神分析に、今日のカウンセリングの実際問題が包括されていると言えると思う。 この点でも、この本からの示唆は多い。 20年前の出版であるが、あらためて、カウンセリング、心理療法の原点を指し示す貴重な本。
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