時は幕末。箱館戦争で敗れ、傷を負いつつも蝦夷の深い森へ逃げ延びた八郎太。だが、そこには──全てを失った男が、厳しい未開の大地で羆撃ちとなり、人として再生していく本格時代小説!
「三河雑兵心得シリーズ」の作家。2017年に単行本「維新の熊撃ち」を改題し修正文庫版にした作品。 場所は北海道、頃は五稜郭の攻防後。 五稜郭の敗戦後、薩摩を主とした官軍の追跡を逃れ北に進路を取った幕臣三人。 元幕府遊撃隊士の八郎太、その兄、仲間の御家人の少年、佐吉と逃れるも、北海道の自然はその頃危険以外の何者でもなかった。 官軍以外に狼、ヒグマに襲われる。 まだ少年の佐吉は巨大なクマに襲われ食われてしまう。 兄は弟たちの勧めでそれより以前に味方を探しに難を逃れた。 八郎太は、死を覚悟した直前無我夢中で放った玉が命中し熊は死んだが、結果を見る前に熊からの攻撃で大怪我をして昏倒。 そこを偶然通ったのが老境に差し掛かる元武士の熊猟師、十蔵とその若い妻、喜代。 熊の攻撃で頭を強打した八郎太は視力が激減。 だが、街へ出ることはできずやむなく猟師に。 その葛藤や胸の内、熊との戦い、自然を相手に暮らす知恵。 様々な日常を物語の中に加えつつ、八郎太はいつしか自分自身に問いかけをするように。 素晴らしい作品です。
ゆがんだ視線 - 菊川近子 - 女性マンガ・無料試し読みなら、電子書籍・コミックストア ブックライブ